孤高の映画作家、フィリップ・ガレルの最新作
13歳で初めて8ミリ映画を製作、16歳のときに発表した短編によっ
て映画史家ジョルジュ・サドゥールから「神童」と讃えられ、ヌー
ヴェルヴァーグの"恐るべき子供"として注目を集めたフランスの
映画作家フィリップ・ガレル。1991年、ヴェルヴァット・アン
ダーグラウンドの元メンバーにして"運命の女性"ニコとの思い出
を刻み付けた『ギターはもう聞こえない』でヴェネチア国際映画祭
銀獅子賞を受賞、その後も『愛の誕生』『夜風の匂い』『恋人たちの
失われた革命』(第62回ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞受賞)『愛の残像』
『灼熱の肌』など数々の傑作を手がけてきたガレル監督の、待望の最新作。
モノクロの美しい映像とともに、
リアルなフランス恋愛映画が誕生した
恋愛、結婚、離婚をくりかえしつづける男と女。離婚した親とその
恋人の間をさまよう子どもたち。そこでは"愛している"という言葉だけが
空虚にくりかえされる。彼らのいう愛とは何なのか。なぜ彼らは愛を求めて漂流しつづけるのか。
世代を超え、愛の誕生と崩壊を描いてきたフィリップ・ガレル監督が、芸術と愛に生きる一組
のカップルの間で起こる感情の変化を、美しく繊細に、そして徹底
して無慈悲にとらえた本作。撮影監督ウィリー・クランによるモノ
クロの美しい画面のなかに、愛と嫉妬に狂う恋人たちの姿が浮かび
上がる。リアルなフランスの恋愛映画がここに生まれた。
映画と交錯するフィリップ・ガレルの人生
1960年代から現在まで活躍を続けるフィリップ・ガレルは、その作品のなかに自身の人生を反射させつづけてきた。
『ギターはもう聞こえない』(1991年)では88年に急逝したニコとの生活を描き、2005年の『恋人たちの失われた革命』では
68年のパリ5月革命に挫折した自身の姿を愛息ルイ・ガレルに演じさせた。最新作『ジェラシー』は、処女作から彼の
ほとんどの作品に出演した父モーリス・ガレル(2011年没)の30歳の頃の物語であり、彼の実の家族
息子ルイ、娘エステル(ルイの妹役)、妻キャロリーヌ・ドリュアス(脚本)
がその物語を彩る。
私的な記憶から生まれた物語のなかに、世界中でくりかえされる愛と嫉妬のドラマがオーヴァラップしていく。